「作兵衛ぇっ!!」


誰かに名前を呼ばれた気がする。
まだまだ眠い目をこすって起きようと目を開けると、すぐそこに名前先輩の顔があってびっくりした。
一緒に寝たことを思い出して一人納得して、それからさっきの声のことを考えた。考えたっていうか食満先輩だと思うんだけど…。

「…やかましい」

頭の上で低い声がそんな怖いことを言った。いや、やかましいってそう怖いわけじゃないけど声が怖い。そんな声を発した人物、名前先輩は俺の頭をポンポンと叩いておはようと言った。声は戻っていた。おはようございます、とだけ俺は返した。

「おい名前、お前昨晩何をしたんだ!簡潔に答えろ」
「……作兵衛、朝飯食ったら正門集合な」
「あ、はい」

よし、じゃあ後でなと先輩は俺を部屋から出て行くように促した。食満先輩が面倒だから帰してくれたのだろうか。まあ、あの食満先輩は多分娘を持った父親のようだから…って、それだと俺が娘!?
……気づかなかったことにする。
早く部屋に戻ろう、きっと左門と三之助がうるさい。俺を捜して迷子なんてことになってもらっちゃあ困る。今日は先輩と出かけるのだから。




「作兵衛ぇっ!!」


部屋に戻ると左門が飛び付いてきた。慣れているので受け止めると、左門の後ろで三之助が俺を見ていた。

「何?」
「黙って行って、帰って来なかったから心配した」
「迷子かと思ったぞ!」
「お前らじゃねえから」

ごめんと謝ると、良いよと2人は笑ってくれた。朝飯行こうぜ、と言われ俺は急いで着替えをする。2人とも既に着替えていた。


「昨夜どこにいたんだ?」
「…名前先輩のとこ」
「なに!ついに作兵衛もオトナになったのか!」
「ちっげえよ馬鹿!」






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