休みだわーい嬉しいな。 これと言ってやることもないし、作兵衛が暇そうだったら誘って町にでも行こうかな。 「あー、苗字せんぱーい!」 間延びした声で誰かに呼ばれた。この声は喜三太だ。 おはよう、と言って頭を撫でるとおはようございます、と返ってきた。癒される…! 「お出かけですか?」 「ああ、暇だからね」 私服を着ていた俺を見て喜三太はそう思ったらしい。まあ当たり前か。 そうだ、いいこと思いついた。 「喜三太、しんべエと平太を見なかったか?」 「は組は皆でサッカーしてますー。平太は多分日陰ぼっこしてます」 「(日陰ぼっこ…?)そうか。喜三太はこれから暇か?」 「はい!」 「だったら用具委員会で町に行こう。美味しい甘味処があるんだ」 「わーい!」 じゃあ僕しんべエと平太呼んできますー、と喜三太は走りだした。 「表門に集合なー」 「はーい!」 喜三太はサッカーボールを持っていた。皆でサッカーなんて仲が良い。羨ましいな。 本当は全員俺が呼びたかったけどまあ良いか。 当初の予定通り、作兵衛を誘いに行くことにした。 「ええ、暇ですよ。委員会で?良いですね!行きましょう!」 作兵衛は二つ返事で了承してくれた。 少しそっけない気がするけど気にしない。 目を合わせてくれない気がするけど気にしない。 じゃあ留三郎先輩のところに行ってくるから表門で待ってて、と言えば 俺も行きますから待っててください!、と強く言われた。 何でそんな強く言ったのかわからないけど、まあいいかと俺は待つことにした。 「上手い甘味処があるんだ」 「何がうまいんですか?」 「団子だ!こないだ行ったとき自分でも驚くほどの数を平らげてしまった」 「じゃあすごいうまいんですね!楽しみにしてます」 お待たせしました、と私服に着替えた作兵衛が出てきた。 じゃあ行こうか、と6年長屋に向かって歩き出した。 「何!委員会でお出かけだと!?行くに決まってるじゃないか!ちょっと待て、一瞬で準備してやる!!」 有言実行、ホントに留三郎先輩は一瞬で準備を済ませてしまった。 → |