「苗字ーッ!!」 三郎が大声で名前を呼びながら俺たちの部屋に入ってきた。 どうしたのだろうか。でも焦っているわけではなく、どこか楽しそうだからたいしたことではないのだろう。 「おう、鉢屋」 「苗字お前用具委員会に入ったって本当か!?」 「ええっ!?」 たいしたことだった! あの面倒くさがりで、委員会なんて知るかと言い続けてきた名前が委員会に…。 「…って、用具委員会?」 「そうだけど」 あの名前が用具委員会…。 そりゃあ三郎もびっくりするよな。 文句言いたげに名前は頬を膨らませる。やめろ、それが可愛いと許されるのは低学年までだ(一部除く) 「何だよ兵助まで。そんなに俺が用具委員会に入ったらおかしいのかよ」 「うん」 「即答すんなよー…」 「で、何で用具委員会に?」 三郎が話を逸らすと、名前は嬉しそうな顔をした(あ、犬みたい) あのなあのな、なんて話したくて仕方ないように早口に言う。 「後輩が可愛いかった!」 「は?」 「答えになってないぞー」 「えー、分かれよ」 「分かんねえよ」 「えっとだなー、一言で言ってしまえば後輩が欲しかったんだ」 「へえ」 「それで何故用具委員会なんだ!庄と彦の方が可愛いのに!」 「用具委員会のが俺的1番可愛かったんだ!」 何なんだこいつらは。ため息をついたが、まあ後輩が欲しいのは分かるし、自分の後輩を1番に思うのも分かるので止めないでおく。 それよりもっと重要なことがあるだろう。 「よく食満先輩が許したな」 「すげー大変だったんだぜ。何でか知らないけど」 「(それはお前が壊し屋だから)…で、どうやって?」 「後輩くださいって言った!」 だから言葉が足りないって。 「脅したのか」 「そう。食満先輩後輩まじ溺愛してるから利用した」 「さらっと凄いことやるな」 「駄目だったんだけどなー」 俺たちが、なんだそれと突っ込むと名前は少し顔を赤くして、照れ臭そうに笑って言った。 「作兵衛が、俺に入ってほしいって言ってくれたんだ」 そう言った名前は、凄く幸せそうだった。 良かったな、って言ってやると 俺は幸せだ、なんて返ってきた。 「見れば分かるよ」 彼ノ人格 (壊し屋で、後輩大好きで、幸せ者) 2009.09.17 |