「と、いうわけで留三郎先輩、作兵衛は俺がもらいます」


は?、と声が二つした。
一つは作兵衛から、もう一つは少し離れた木の方から。
作兵衛がそっちを見ると、留三郎先輩と善法寺先輩が出てきた。作兵衛は信じらんないと言うように二人を見ている。

「気づいてたんだね」
「許さん!俺は断固として許さん!」
「留三郎、さっきと言ってること違う」


最初からついてきてるのは気づいていた。俺だってもう五年生だし。
作兵衛は気づいてなかったらしく、さっきから声にならぬ声をあげている。かわいそうになあ、よしよし。



「留三郎先輩が何を言おうが作兵衛は俺のものですがね」
「先輩…!」


「作兵衛が欲しくば俺を倒せ、名前!」



言うと思った。
まだまだ混乱している作兵衛の手を引いて俺は走り出した。後ろで留三郎先輩の怒鳴る声が聞こえる。





逃げるが勝ちですよ


「名前先輩」
「ん?」
「もし名前先輩が食満先輩に負けたらどうなるんですか」
「大丈夫、負けない」



fin
2010.03.16



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