「ねえ留三郎、なんでこんなことしてるの?」
「名前のヤツが作兵衛に変なことしないか見張るためだ」
「へぇ…」



で、なんで僕も付き合わなきゃなんないわけ。
留三郎の後輩である苗字と同じく後輩である富松くんが二人で出かけたのを聞いて、留三郎は居ても立ってもいられなくなったらしく僕をつれて二人の後を追った。


「苗字くんが変なことするとは思えないけれど」
「いや、可能性はある」

本当、留三郎って後輩大好きだよね。僕も好きだけど留三郎ほど過保護ではない。
あれ、でも苗字くんも一応後輩なんだけどな。


「あ、うどん屋に入ったね。留三郎お腹減った」
「俺たちも入るか」





何となく富松くんが苗字を好いてるんじゃないかってのはわかるんだ。こうやって二人を見てるとね、富松くんは一生懸命に苗字くんについてこうとしてる。それで時々苗字くんに振り返ってもらって嬉しそうにはにかむんだ。一途だと思うよ。

けど、苗字くんはどうなんだろう。今は抱えている酒の方を気にしているみたいだし。先を歩いてしまって、顔に出てはいないけど慌てて振り返って富松くんを確かめている。
そんな対象としては見ていないのかな。


「もし、もしもだよ?」
「なんだ伊作」
「苗字くんと富松くんが付き合っちゃったりしたら…どうする?」

そう言って留三郎を見る。
僕としてはそうなってくれたら嬉しい。だって一途な富松くんの想いが叶うってことだし、苗字くんにとっても良いことだと思うんだ。彼が5年主以外でここまで仲良くしてるのは富松くんくらいだし。(5年主はもう仲間だもんね)
人に興味を持つことって大切だと思う。



「…そうなったら素直に祝ってやるさ。名前だって作兵衛だって俺の後輩だしな。幸せなら良いんだ」

「……へえ、てっきり、許さん!とか言うのかと」
「作兵衛が名前好きだからな」
「あ、やっぱり富松くんのことを考えてか」
「当たり前だ」





そうやってるうちに苗字くんと富松くんが店を出てるのに留三郎は気づいてるのかな?



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