表門で小松田さんと話しながら名前先輩を待った。小松田さんが話す内容は日常的でくだらなく、でも飽きないので好きだった。


「作兵衛、待たせたな」
「いえ!」


身なりを整えた名前先輩が来た。今日はただ町に行くだけだからか掛矢は持っていない。行ってきます、と小松田さんに外出許可書を渡して出門表にサインした。

「お土産待ってるよー」
「あはは、嫌です」
「先輩…」




道中沈黙が続いた。とても緊張する。ちらりと名前先輩の方を見ると名前先輩は空を飛んでいる鳥を見ているようだ。な、何か話しをしたほうが良いんだろうか。

「せ、先輩」
「ん?」
「今日の予定は、どんな感じですか」
「そーだな…あんまし考えてないんだけど。酒買って団子買ってうどん食って…あ、着物も見たい」
「着物?」
「女装用」
「先輩が?」
「おう」


「作兵衛、今すごい笑いたいだろ」
「え、や、そんなこと…」


あります。
だって名前先輩の女装って想像できない。
あー駄目、笑いたい!







「俺だってやることあるんだ。残念ながらな」

もう諦めた、と先輩はため息をつく。
そんな先輩の隣で俺が笑い出すまであと少し。





今日の始まり

(いい加減笑いを止めろ)
(や、すみませ…無理…っ)
(……)




2010.01.19
長くなりそうなので切ります。




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