ドドー…ン とても大きな音がした。こんな音がしたのは久しぶりだった。 何があったのかと外を覗いてみた。 目の前を素早く何かが横切った。二つ。 「…名前先輩?」 いや、そんなはずはないか。 首を振って寝ようと伸びをした。欠伸をすると誰かに名前を呼ばれた。誰だ?とそっちを見ると焦った表情で竹谷先輩と久々知先輩が走ってきた。 「どうしたんスか?」 「苗字と雷蔵見なかったか?」 「名前先輩と不破先輩…?」 もしかしてさっきここを横切った二つのものですか?そう聞くと先輩方はそれだと言わんばかりに顔を見合わせて走り出した。え、本当に? 何があったんだろう。凄い気になる。先輩方を追って俺も走り出した。あー髪邪魔くせぇっ!寝るつもりだったから髪結ってないんだよ! 「名前っ!雷蔵っ!」 塀が半壊していた。半壊した塀のあたりにはボロボロの不破先輩がいる。 え、これ名前先輩がやったの? 尾浜先輩と鉢屋先輩が先に着いてて、必死で怒鳴って名前先輩を止めようとしている。不破先輩は抵抗せずに黙って動かない。 2人に何があったんだ? 先輩方の声は聞こえてないらしく、名前先輩は手を振り上げる。 そんな名前先輩見たくないよ。待って、やめて。 「名前先輩っ!!」 叫んだ。 やめて欲しいと願いながら。 いきなり静かになって、不安になって顔を上げた。見ると名前先輩は振り上げていた手を下ろして呆然と立っている。先輩方は驚いて俺を見ていた。 「え、作…俺、何で外に…?」 「名前先輩!」 良かった。いつもの先輩に戻った! 俺は名前先輩に駆け寄り抱き着いて泣いた。名前先輩は何があったのか全然わからないらしくて、やり場のないその手を俺の頭に置いてくれた。 俺も名前先輩に何があったのか知らないけど、とりあえず戻ってくれて良かった。 「雷蔵、目、覚めてるか?」 「……うん」 「何があったか覚えてるか?」 「………やっぱり、僕じゃ駄目なんだね」 「僕の何が悪いのか、さっぱりだけど、苗字は僕を受け入れられないらしい」 「…ああ」 「いい加減、諦めなきゃ駄目かな。僕がしつこいから苗字も怒ったんだよね」 「雷蔵…」 「殴られてすっきりしたよ。ごめんね三郎、迷惑かけた」 「私のことは良いんだ。私より雷蔵は」 「僕は大丈夫」 「雷蔵も苗字も!保健室行くぞ!」 愛してました (え、てか何で俺怪我して…ってえ!) (名前先輩、俺につかまってください!) (雷蔵、大丈夫か?) (僕は結構丈夫だからね、大丈夫) 2009.12.29 |