「…知っていたんですか」 「え、あー、うん、まあ」 ごめんなさい、ちゃんと覚えるまで時間かかりました。 まあいいです、とため息をついて、平はどこからか戦輪を出した。 俺、戦輪苦手なんだよなあ。あれどこ飛んでくか分かんないし。 ていうか、手裏剣とかそういう小さくて投げるもの全般無理。縄標も…無理。 「私は戦輪を使います。先輩は何を使いますか?」 「俺?俺は…あ、持ってくんの忘れた」 「そんなことだと思ったよ」 人だかりの中から、ひょいと勘ちゃんが姿を現した。 勘ちゃんは掛矢を持っていた。 「おお俺の掛矢!」 「せっかく俺が洗ってやったのに」 「ごめんごめん、ありがとう」 ごめんね、俺の相棒! ポカンと平は俺たちのやり取りを見ていた。 何か変なことあっただろうか。 声をかけると、平は開いていた口のまま 「掛矢、ですか?」 「うん」 「それ、大工道具ではないのですか?」 「利用できるものは何でも利用するのが忍者だろ?」 「…そうですね」 にひひ、と笑ってみせると平は顔を逸らした。ちょっと傷ついた。 早く始めましょう、と素っ気なく言ったのに対して頷いた。 → |