「もう一度言います。後輩ください」 「だから断る」 「せめて作兵衛だけでも…!」 「お前にやる後輩は一人もいないわ!」 あの、俺を挟んで言い合いはやめてください。 耳も痛いし、俺が危ないです。きっと先輩に抱きしめられてるからです。 というか話が全く読めません。 「喜三太、しんべエ」 「はにゃー?」 「富松先輩、顔赤いですよー」 「っ!、じゃなくて、この2人は何やってんだ?」 俺は今だ腕の中。 どうやら先輩方は俺を気にしないことにしたらしい。迷惑だ。 「えっと、僕たちここで食満先輩が来るのを待ってたんです」 「まだ誰もいないねー」 「ねー」 「おお、しんべエに喜三太」 「あ、苗字先輩!」 「苗字先輩だー!」 「ああもう可愛いなコノヤロー!」 「それで、苗字先輩が僕たちを抱きしめてたとこに、食満先輩が来たんです」 「…で、どうして2人は言い合ってんだ?」 「後輩をくださいとか何とか…?」 何なんだいったい。思わずため息を一つ。 言い合うのは勝手だけど俺を挟んでやるのは勘弁して欲しい。 「あのー、先輩…」 「留三郎先輩ぃっ!」 ああもう、俺のことは総無視ですか。 苗字先輩は放してくれるどころか、更に抱きしめる力を強くする。 「後輩くれないなら俺を用具委員会に入れてください!」 交換条件 (苗字を用具委員会にだと…断る!) (なら作兵衛をください) (断るっ!) (あーもうなんだこいつら) 2009.09.15 |