「美味しい〜!!」



そう言いながらしんべエ、お前何本目だ。
俺、そんな金持ちじゃないからそろそろ遠慮してほしいんだけど…。


「名前先輩、大丈夫ですか…?俺も払いましょうか」
「大丈夫だ!お前はもっと食べて良いよ!」


作兵衛はホントよく気がつく子だな!
大丈夫だよ、このあとこっそり買う予定だった酒を諦めれば…ぐすん。
美味そうに食べてるお前らの顔見れば、金の心配なんて吹っ飛ぶのさ!



「苗字先輩…」
「どうした?平太」


怖ず怖ずと平太が俺の服の裾を引っ張りながら話しかけてきた。
平太から話しかけてくれることが嬉しい俺は笑顔で返事をする。



「僕、苗字先輩のことよく知らないので色々教えてください」


そう言えば、そうか。
今まで委員会に入ってなかったし、基本引きこもりだから後輩と遊ぶなんてことしなかったし。
良いよ、と答えると平太は花を飛ばして笑った。
俺のことか…何を話せば良いのやら。


「苗字は壊し屋だ。無意識に何でも壊すお騒がせ者」
「留三郎先輩、余計なことは言わんでよろしいです」
「最重要事項だと思ったんだが」


……仕切り直して。
ええと、5年い組で寮の同室は豆腐小僧。
座学よりも実習の方が好き。得意武器は、掛矢です。武器じゃない?気にしないの。利用できるものは何でも利用するのが忍者なんだから。
趣味は…何だろ。とりあえず酒呑むこととでも言っておこうかな、ちなみに酔わないよ。
家は遠いから休み中は学校にいることが多い14歳、さそり座のO型です、以上!


「お前、何か…」
「何ですか。あ、5年生で1番仲良いのは勘右衛門です」
「その情報いるのか?」
「4年生とは何故か仲悪いです」
「その情報もいるのか?」


だって何言って良いかわからない。
これだけの情報でも平太は満足だったらしく、俺を見上げてはにかんでいる。


「苗字先輩は僕のこと好きですか?」
「当たり前だろ?」
「僕も苗字先輩のこと好きです」



平太が何したいのかよくわかんないけど、好かれてるってのは分かったから良いか。
今度僕たちと遊んでくださいってかわいらしいお願いも、もちろん即了解。






ほら幸せ


(俺は幸せだよ)
(ごちそうさまでした!)
(……留三郎先輩、金貸してください)



2009.11.18



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