「雷蔵落ち着けって!!」


「苗字は何もわかってないみたいだから、分からせてあげなきゃ」
「お前がやろうとしてるのはただのお仕置きだから!」
「お仕置きって響きが卑猥」
「ハハハ、どこがお仕置きなんだよ」
「だったらそのロウソクを放して!」



誰かー!誰かー!
雷蔵様がご乱心じゃあ!

……苗字が用具委員会に入ったことを知り、しかも本人に辞める気は更々無いことを知った雷蔵は、力ずくでもと言うように苗字に掴みかかった。
これはヤバイ。
スイッチの入った雷蔵はヤバイ。

逃げろ、と苗字に言うけれど苗字は何が起きているのか理解できないのか、腰が抜けて動けないのかわからないけど逃げなかった。
ハチと兵助に逃がせ、と伝えては見たものの2人は実行してくれなかった。
結局、苗字は雷蔵に捕まり組み敷かれている。



「ねえ苗字、僕の言ってること分かる?」
「わ、かんない」
「嘘つき。分かるでしょ?だって苗字は頭良いもの」


雷蔵は苗字のことを心配している。
それは分かる。私だって心配しているから。
だけど、ここまでする必要はあるんだろうか。


「ねえ苗字、」
「……俺は辞めないから。
不破が何を言おうと、俺は用具委員だ」



苗字がはっきりそう言うと、雷蔵の動きが止まった。
チャンスだ。
雷蔵を苗字の上から退かすと、急いで逃げろと私は言う。
言われた苗字は首を傾げたが。


「馬鹿!怪我したくなきゃ早く逃げろ!」
「え、でも今逃げた方が危険じゃね…?」
「今の雷蔵は冷静じゃないんだ!冷静になればまだ話は分かる!」
「名前、天井裏が良い」
「え、わ、わかった」


まだ理解していないまま、苗字は天井裏へと行ってくれた。
良かった…。



「で、どうするんだよ」


ハチが聞く。
雷蔵はまだ停止していて、私が押さえつけている。

「とりあえず、落ち着かせなきゃ」
「どうやって?」
「……どうやって?」


しまった、考えてなかった。
早く考えなければ。雷蔵が覚醒してしまう。
苗字のことをほっとくわけにもいかないし…。




「……苗字…」



覚醒してしまった。
ヤバイ、どうしよう。
あたふたしているバヤイでは無いってわかっている!でもどうしていいか分からないんだ!
苗字が遠くまで逃げたことを祈るばかり……



「なー、逃げるってどこへ?」

「ばっ、馬鹿野郎ーっ!!」
「苗字何でまだここにいんだよ!」
「へ?や、どこへ逃げていいか分からなくて」
「雷蔵落ち着けッ!」


私と雷蔵では、私の方が力が無い。(変装するために体型は細い方が良い)
しかもキレた雷蔵となれば、私が敵うわけもなく。
ハチが押さえつけようとしたけど一歩遅くて、雷蔵は天井裏から顔を出している苗字に手を伸ばした。

「わっ、あぶなっ」
「もっと緊張感持て!逃げろ!」
「うん、何か逃げなきゃいけない気がしてきた」


どうして苗字はあんなに呑気でいられるんだろう。
出していた首を引っ込めたのと気配が遠くなっていくのを確認した。
そこで少し安心してしまったのが間違いだった。私としたことが。
雷蔵は私の腕から強引に抜けて苗字を追いかけていってしまった!


「三郎何やってんだ!」
「す、すまない」
「それより追わなきゃヤバくないか」
「そうだ!」




そして何かが壊れる音が聞こえた。
嫌な予感がして、音の方に向かうと雷蔵と苗字がやり合っていたのだ。



「あ、なあちょっと不破止めてくんね?」


それが出来ればこんな苦労しねえんだよ!







絶対反対

(兵助が雷蔵を手刀で落としてくれて、とりあえず落ち着いた)
(ねえ、俺何かした?)
(え、何お前本当にわかってないの)



2009.09.24



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