「留三郎せんぱーい」 「な…苗字?」 用具庫の前へ行くと食満が一人で何かをしていた。 苗字は食満に声をかけ、隣へと行く。 「お前授業は?」 「自習でーす」 「なら自習してろ」 「留三郎先輩は?」 「……自習だ」 同じじゃないですか、何て苗字は笑いとばすと並べてあった道具を抱えた。 「おい、何する気だ」 「何って、運ぶんですよ。いくら留三郎先輩でもこの量を運ぶのはしんどいですって。5年長屋遠いし」 「これくらい余裕だ。それに鍛練だと思えば…」 そんな食満の言葉を苗字は聞かずに歩き出す。 止められないと判断したのか、残っている道具を抱えて苗字のあとを追った。 「屋根、俺が壊したんです」 「……知ってる」 「あらやっぱり」 「何で不破とやり合ったんだ」 「用具委員会に入ったって言ったら何故か怒られて…」 そりゃあな、という言葉を飲み込む。 お前は自覚をするべきだとも言ってやりたいが、それはきっと無駄だろうと更に飲み込んだ。 不破とやり合って怪我ひとつ無いことが幸だな。 話してる間に着いたらしく、道具を地面に置いた。 「言ったじゃないですか。俺が壊したものを直すって」 「……当たり前だ」 「あ、俺が留三郎先輩の手伝いしたことは内緒ですよ」 「は?」 「俺は真面目に自習してる良い先輩なんです」 内緒ゴト (真面目に、ねえ…) (成績は上の上です) (嘘つけ) (本当ですよー) 2009.09.21 2009.10.06 修正 |