いつも通りだった。 今日は何も無くて暇だから商店街をぶらついて、辿り着いた先がここ、辰姫神社。 人がいないここは実はかなりのお気に入りの場所。 お金に余裕がある日だとか、気分の良い日はここにおさい銭を入れる。そのせいかあのキツネにはたまにサービスしてもらえる。 今日もおさい銭を入れて、くつろがせてもらいます、と手を合わせて座り込んだ。 「やあ」 するとあらびっくり、足立さんがいました。 にへら、とした笑顔のまま足立さんは私の隣に腰を下ろした。 特に拒む理由も無いし、むしろ居心地が良いので何も言わずにその動作を見ていた。 「相変わらずそんな顔してますね」 「君の言う、そんな顔ってどんな顔だい?」 そんな顔です、と返して何となく足立さんに寄り掛かった。 足立さんが拒むような感じもしないので、そのままの状態で話すことにする。 んー、あったかい。 「最近どう?テストあったんでしょ?」 「よく知ってますね。ご心配無く赤点はありませんでした」 「アハハ、赤点とっちゃえば良かったのに」 「というか満点とりました。ご褒美にホームランバー買ってください」 「君も図々しいヤツだね」 高校入って初めてとったんですよ。 そう言うと分かった分かった、なんてため息混じりにそう言って私の頭を撫でた。 それからしばらく話していると、誰かが神社にやってきた。 「あ、月森だ。相変わらずふてぶてしい顔してらっしゃる」 「君、人の顔しか見てないの」 「顔は色んなもの映すんですよ」 やって来たのは我らがリーダーだった。 確かここのキツネと出会ったのは彼が最初だったはず。 今日はたくさん人が来る日だなー。 「で、何しに来たんですか?」 「キツネに会いに」 「キツネ?」 「この子です」 「うわ!いつの間に!」 私の隣にいたキツネは、リーダーが来たから現れたんだろう。 あーあ、こんなに尽くしてるのに私よりリーダーが好きなんだね。 クマにも負けないキツネの毛並みを撫でている私を、足立さんは不思議そうに見ていた。 「……ここじゃなんだから向こう行こうか」 「悪いねー」 「え?別にいても良いけど」 私と足立さんを見てからキツネに向かって、リーダーはそう言った。 それに対しての私と足立さんの答えは違うもので、お互い顔を見合わせた。 恋人以上恋人未満 (ちょっと待ってよ!僕らそういう関係じゃないの!?) (そういう関係ってどんな関係ですか) (あんな甘い雰囲気作っておいて!僕は君のこと好きなのに!) (私も好きですよ、足立さんのこと) 2009.06.12 shadow 様へ提出 |