今日は珍しく体育が男女合同。 男子の体育の先生が出張でいないからだって。 1組と2組一緒に体育やるってことはつまり…す、巣山くんが体育してるところが見れるってことなのです。 いつも楽しみな体育だけど、今日は更に楽しみ。ドキドキしながらあまり気に入っていないジャージに着替える。 絶対、絶対巣山くんカッコイイよ!! 体育館をネットで半分に分け、男女共にバスケを始める。 私はそこまで運動神経良いわけじゃないし、かと言って何もできないわけでもない(…と思う) 楽しんでやるくらいはできるので今日も遠慮無く楽しむつもりだった。 でもやっぱり意識は男子の方に向いちゃって、友達ちゃんに怒られた。 「名前は休憩中?」 私のチームが休みになって、私は思う存分男子を見ることができるようになった。 運良く今、巣山くんが試合中だ。 「あ、勇人。1組だったっけ」 「ひどいなー、そうだよ」 「ごめんごめん」 軽く勇人に謝って私はまた試合の方に目を向けた。 そう言えば勇人のおかげで巣山くんに会うことができたんだった。もう一度心の中で謝っておこう。 「……あれ?」 「どうしたの?」 「あのさ、何で…巣山くん……真面目にやらないの?」 「え?」 「な、なんか…手、抜いてるよね?」 自信無さそうに私が言うと、勇人は巣山くんを見てからにっこり笑った。 「カッコ悪いとこ、見せたくないんだって」 「…誰に?」 「名前に」 私は勇人の言ってる意味がよく分からなかった。 勇人と巣山くんを交互に見ていると、3回目で巣山くんと目が合った。 少し顔を赤くして巣山くんはボールへと目線を戻した。 「下手に力んでカッコ悪いとこ見せたくないんだってさ」 「…そ…なんだ」 「それにしても」 少し私のことを意識してくれていることが嬉しくて、顔がニヤついてるところに勇人は更に追い打ち。 「よく手ェ抜いてるって分かったね」 この言葉は強烈だった。私がどれだけ巣山くんを見てるのかがよく分かる。 恥ずかしくて消えてしまいたいよ……。 臆病者の恋愛歌 (あ、でも消えたら巣山くん見れないや) 2008.09.30 title by 確かに恋だった 栄口は名前の幼なじみ |