ずっと、ずっと一緒。 私たちがいつだかに交わした約束は、私が破った。 適当に、離れた方が尚治のためだよ。なんてありがちな理由を投げつけて、別れを切り出した。 尚治は何も言い返さないでそれに応じてくれた。 それどころか、お前なら新しい彼氏すぐできるよ、なんて言って頭を撫でていった。 その優しさが、私には辛かった。 私はわがままばかり言ってたから、尚治は我慢ばかりしていたんじゃないか。本当は私にして欲しいことたくさんあったんじゃないだろうか。 そう考えると、胸がぎゅーっと締め付けられた。 何度も何度も、何度も何度も……。 そして決めた行動が、これ。 これで良いんだ。 こうすれば尚治はもっと良い人に出会えるし、無理なんかしなくていい。 ……好き、好き、大好き。 嫌いになんかなれるわけ無い。 好きだから、尚治のことを考えてこの行動をとったの。 このまま離れていけば、私もふっ切ることができるから……。 「巣山進路どっちにした?」 教室で、無意識に彼の名前に反応してしまう。 進路選択についてはよく尚治と話していたので、尚治がどちらを選ぶか分かっていた。だから、それでは無い方を私は選んだ。 また同じクラスになんかなってしまったら、決意が揺らいでしまうから。 聞き耳を立てて、尚治の返答を待つ。 ほら、早く答えて私を安心させて? 尚治の口から聞いた返答は、私が選んだのと同じ進路。つまり、いつも言っていたのとは違う方。 私はア然とする。 どうして、どうして? ぐるぐると色んな予想が頭を駆け巡る。 でもどれもピンとこないものばかり。それどころか矛盾したものばかり。 混乱している私を、尚治は見た。あ、目が合ってしまった。 尚治は私に意地悪く笑った。 ……嗚呼、そういうこと。 貴方は、私から離れる気が無いって言うのね。 切ない春の始まり、 (同じクラスになったら私はどうすればいいの?) 2008.10.20 そして時間は動き出す 様に提出! |