呼び出し音だけが耳に届く。
音がするたびに何故か心臓の音がでかくなる。


『もしもし?』


「おう、俺」


『尚治だよね?久しぶりー』




電話の相手は、同い年のいとこ。
住んでるとこが離れてるため、親戚が集まるときぐらいにしか会えない。
確か、前にあったのはお盆か。

しばらく、他愛の無い話をした。
内容は本当にくだらなかった。部活がどうとか、友達の修羅場に巻き込まれたとか…。
他人の色恋沙汰の話はするけど、自分たちの話は絶対しなかった。
聞きたくないのもあるし、まだ夢を見ていたい。
そんな気持ちを持つ俺は、いとこのことが多分好き。
でも今以上を求めたりはしない。


『そういえば、尚治から電話って珍しいよね。何で?』



「……何でだろうな」


俺がそう答えると、電話の向こうからくすくすと笑い声が聞こえた。
何だよ、と言い返すとアイツは笑いを含みながら言った。


うさぎじゃないから死なないよ




(尚治は死んじゃいそう?)
(……流石に死にはしねぇよ)
(お正月には会えるからさ)
(遠いなー…)
(若いね)



2008.10.18
title by 確かに恋だった




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