「ちーよっ!」 「名前ちゃん!今日はブレザーなの?」 「明日はセーラーの予定だよぉ)」 類は友を呼ぶ。 まさに彼女の言ったとおり、苗字と篠岡は会った途端制服の話になった。 「へぇ、水谷くんはブレザー派なんだ」 「え、うん、まぁ」 いきなり話の矛先を向けられて俺はちょっとどもってしまった。 「そんな感じだもんね」 「うんうん。なんか学ラン似合わなさそうだもんね」 篠岡は優しく言ってくれたのに、苗字は毒を吐く。 黙ってれば可愛いのになぁ…。 「そこまで言われる筋合いはないんですけど」 「中学のときネクタイあった?」 「いや、学ランだった…ってなに唐突に!俺も答えてるし!」 「うーん…じゃ、明日Yシャツにクリーム色のカーデ着てきて」 「俺長袖しか持ってないよ」 「そっか、じゃ兄貴の借りてくるから着てみて!」 「てかさっきの俺突っ込むトコ違った!」 「孝介はさ、学ランでボタンいくつか開けてるのがいいよね」 「それもいいけど、中にパーカー着て帽子出してるのもいいんじゃない?」 「あー、それかわいい!」 「あと、花井くんは学ランを羽織る感じで」 「うんうん!」 たかが制服の話しで二人は盛り上がり始めた。つまり、暴走。 そんな苗字に慣れたらしい俺がいて、さっきのマイペースすぎる会話にあまり疲れなかった。 何て言うか…一緒にいて楽しいんだよね。栄口も楽しそうだったし。 苗字と同じクラスで、いつも話せたら楽しいんだろうな……。 「ほら、練習あんでしょ?いっといで」 「応援してね」 「文貴だよね?双子の弟とかじゃ…「ないよ!」 「応援くらいいーでしょ?」 「…いいけど、あたしにそういう期待はしないでね。絶対無いから」 「なに!その唐突な展開は!てかなんで分かったの!?」 「あたし馬鹿じゃないし。萌え要素で固定しちゃった人にそういう感情は持たないもん」 固定した人は、萌えを得るための目でしか見ないらしい。 「え、じゃあどんな人にそういう感情持つの?」 「そりゃ、固定し辛い人だね。好きと萌えは違うもん」 「そんなぁ…」 |