「いっつも思ってたんだけど…」 「なに?文貴」 こんにちは、水谷文貴です。 今は、苗字のために道案内をしています。 「なんで制服着てるの?」 「…んなの、スキだからに決まってんじゃん」 「だったら私服じゃなくて制服のとこ行ってるでしょ」 「判ってないなあ、文貴は」 苗字の、マニア魂(?)に火が着いたみたいです。目の色が変わりました。 「私服校だからこそ、たくさんの制服が着れるんじゃない!」 「…でも、制服って萌えるよね」 結構な熱弁振りを俺はスルーしてみたけど、苗字にはあんまり効かなかったようだ。 「判る!?文貴もイケル口だねえ!」 「セーラーも好きなんだけど、俺はブレザー派かな。短くしても違和感全然ないし、結構個性出せるし」 話に食いついた苗字のオーラにつられて、俺も変態じみた発言をしてしまった。 「ところで、なんで急に野球部みたいとか言い出したわけ?」 道案内というのは、苗字が野球部を見学したいというから俺が第2グランドまで案内したってこと。 何で俺かって?苗字と目が合ってしまったからさ。 「ん〜…萌えたいから?」 「……」 「まぁ、それは60%くらいの理由で残りの40%は勇ちゃんにマネジ誘われてるからと、千代に会いたいからかな」 「なんで篠岡?クラス違うのに」 「千代も制服好きだからだよ。類は友を呼ぶって言うじゃん?」 「あ、そうなんだ」 「ちなみに千代はセーラー服が好きなんだよ。この前貸してあげた」 知らなかった、と言うと、そんなオープンにする人あたしくらいしかいないよ、と返ってきた。自覚はしてるんだと思いつつ、苦笑した。 「苗字は個人的にどっち?」 「…同じくらい。でも、もし好きな人ができたらその人の好きなほう着てくるけどね」 「好きな人いないの?」 「今はね」 「へー…」 |