「かき氷いかがですかー?」


そう言いながら水色のワンピースを着てこっちに来る俺の彼女。
手にはまだ白いままのかき氷が二つ。

「くれー」
「何味がいい?」
「何があんだ?」
「んとー…」

かき氷を置いて、彼女は再び台所へ。部屋がまた寂しくなった。

「いちごとメロンとレモンとブルーハワイとカルピスとコーラ!」
「何でそんなたくさんあんだ」

祭の屋台でも出す気か、と笑いながら言うと、まだまだ足りないよーと笑顔が返ってきた。
屋台出す分にはそうだけど、普通の家庭にある分にしては多いと思う。

「で、どれにする?」
シロップ全部抱えて首を傾げる彼女。これは可愛い、抱きしめたい。
「どれにすっかなー」
そんな気持ちを抑え、並べられたシロップを眺める。こうもたくさんあると目移りしてしまう。
「早く決めないと溶けるよー?」
「お前先決めろよ」
「あたしはメロンとカルピスって決めてるもん」
「じゃ、俺もそれにすっかな」

そう言ってカルピスに手を伸ばそうとすると、駄目!と止められた。
「二人とも同じじゃ分け合いっこ出来ないでしょ」分け合いっこって…どこの子供だよ。
そんな彼女が可愛くて、愛しいと思った。

「じゃ、いちごにするな」
「うん!」





(その後、二人して頭を痛くした)

「尚治なんで後ろの方抑えてんのー!?」
「後ろの方が痛ぇんだよ」
「前でしょー!」





2008.08.14





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