今日もまた、雨が降った。 もう傘を開くのも疲れたし、雨音を聴くのも飽きた。 そろそろ思いっきり晴れてくれないかなあ。 野菜だって雨ばっかじゃ育たないんだから。 「ねー苗字。彼氏とかいないのー?」 水谷がにへらっと笑って私に聞く。 いないよ、と答えるとそっかー、とまた笑った。 私が彼氏がいない寂しい人間なのがそんなに嬉しいのか。 「そういう水谷は?」 「俺?いないよー」 「何、水谷もいないんじゃん」 「苗字になってほしいんだけどねー」 ……今、なんて言いました? 水谷を見ると、顔を赤くして言っちゃった、なんて小声で言っている。 ああこれは所謂告白とかいうアレですね。 「………返事、もらえますか?」 「え?あ、あー……そうだな…」 ふと、外を見た。 雨は大分弱くなっていて、止むか止まないかよく分からない状態だった。 そうだ、良いこと思い付いた。 「この雨が、放課後までに止んだら彼女になったげる」 「…ええ?何ソレ!!」 「頑張って晴れにしてくださいな、彼氏候補サン」 「俺にどうしろと!」 今日も誰かが笑って泣いて恋に落ちた (泣いたのは彼で、笑ったのは私) 「苗字晴れた!」 「わ、すごい!」 2009.05.22 title by にやり |