「好き、です」


小さくて消えそうな声でそう言ったこの女を、俺は知らなかった。
頬を赤く染めて、俺を見れないのかギュ
ッと目を固くつぶっている。

知らないヤツからの告白をオーケーするほど俺は心が広くないし、正直そんなにタイプじゃない。
いつも通りバッサリと言い切ろうとしたけど、どうせまた秋丸に何か言われるに決まっている。
また女の子泣かせただろー!なんて。

どうやって言えば泣かせずにフることができるんだろうか。
考えていると、また小さな声が聞こえた。


「あの、はっきり言っちゃって良いですよ」




分かってますから。
そう言って視線をまた落とした。
分かってるならどうして告白なんてしたんだろう。
俺にはよく分からなかった。


ごめん。
それだけ言ってこの塲から去ろうと思った。
本人も分かっているんだからきっと泣かせずに済むだろう。





「ごめん」

できるだけ優しく言ったつもりだ。
じゃあ、と去ろうとすると泣きじゃくる声が聞こえた。
なに、覚悟してたのに泣いちゃうの。
あーあ、また秋丸にとやかく言われる。


「……ったく」






どうしてこんなことをしたのか分からない。
気付いたらこの名前も知らない女の頭を撫でていた。




あー、オレ何してんだろ

(早く泣きやまないかな)




2009.04.23
title by DOGOD69




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