何で私は春休みだというのに学校にいるんだろう。
講習とかがあるんじゃないんだよ?忘れ物をしたわけでも無いし、クラス発表はとっくの前に終わった。(友達いなかったの!どうしよう!)

じゃあ何で?
それは今日が4月6日だから。
え、理由になってない?
……4月6日っていうのは、彼の誕生日なの。
今日のためにプレゼント用意したし、何度も渡す練習もした。
プレゼントは渡せなかった時のことも考えてお菓子にしました。この時点で既に弱気だなぁ……私。
しかも私、素直な女の子じゃないから普通にプレゼント渡しておめでとうなんて言える自信無いし……。


「あれ?苗字?」
「!!」

ドキッ
声をかけられて心臓が凄くびっくりした。
しかもこの声って……。

「す、やま」
「……驚かせたか?」


大丈夫、って首を横に振ってみせた。
他に誰もいないみたいだし、これはチャンスってことだよね?
でもちょっと待って!心の準備が全然出来てないんです!



「苗字?」
「………あの、ね」

沈黙は駄目だと思って口を開いた。
お願い私、素直に言って!





「その………」



えっと、なんて言うんだっけ。
あんなに練習したのに言葉が出てこない。
心臓がバクバク言ってて、だんだん熱くなってきた。
早く言わないと巣山くん呆れちゃう。

「何で今日誕生日なの?」

「……へ?」
「そうよ、何で今日なの?私の誕生日から2週間も経ってないじゃない」
「え、苗字……」
「せっかく追い付いたと思ったのにさ……」

ちょっと待ってよ、私。
いったい何を言い出してるの?
確かに思ったことはあったよ。だって同い年っておそろいみたいで嬉しいんだもん。
同じでいたいのよ!



「祝ってなんかあげない!」

さようなら、私の恋。
持っていたプレゼントのお菓子を投げ付けて私は走り出した。
絶対変な子だって思われた。あれ、確か巣山くん同じクラスだったような……うわ、気まずい。
これなら渡せなかった方が良かった!
素直じゃない私なんか大嫌いだ。





「苗字!」

名前を呼ばれて、ガシッと腕を掴まれた。
え、どうして追いかけてきたの?


「あ、あのさ」

肩を大きく動かして息をする。
だんだんと巣山くんの顔が赤くなっていく。




「苗字は祝いたくないのかもしんないけど、俺は……祝ってもらいたい」

その言葉の意味を考える。
頭があまり動かない。何とか考えてみるけど、自分の都合の良いようにしか考えられない。

「………どういう…意味?」
「……………好きな人には祝ってもらいたいってこと!」






愛を歌う下手くそなふたり

(そ、それプレゼントだから……)
(……サンキューな)
(誕生日、おめでとう)





HAPPY BIRTHDAY SUYAMA !!

2009.04.06
title by にやり






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