今日が何の日かって、まず朝考える。 そして何も無いと分かって少し落ち込んでから布団とさよなら。 いくら期待していても何も無い日は何も無くて、ため息が出ることは既に日課となっていた。 例えば、今日が彼氏ができた日なら。 例えば、今日が初めてキスした日なら。 つまり、記念日というものが欲しかった。 カレンダーに書かれる文字は友達の誕生日ばかり。 もっとこう……わくわくドキドキするような内容が欲しかった。 改めてカレンダーを見ると、今日は日曜日。部活も予定も無いただの休みだった。 カーテンを開けて、朝日の眩しさを感じてから向かいの部屋のカーテンが閉まっていることに気づいた。 向かい、つまりお隣りさんは尚治の家。 こんな漫画みたいにお隣りさんに幼なじみがいるものなのかとずっと疑問に思っている。 この時間にカーテンが閉まっているってことは、今日の部活はお昼からか休みなのかな? ……どっちでもいいや。久しぶりに愚痴聞いてもらおう。 お母さんに尚治の家に行くと言って、おばさんに挨拶をして尚治の部屋の前に来た。 静かにドアを開けて、尚治が寝てるのを確認。 「……起こそうかな」 そうだそうしようなんて独り言を呟いてから、ぐっすり寝てる尚治を改めて見つめる。 あーあ、昔の可愛い尚治はどこへ行っちゃったのかな。 こうして寝てるときはまだかろうじて面影があるけど、起きてるときはもう男。 そうだ、男なんだもんね。 ここまで来てなんだけど、愚痴るのためらっちゃうな。 「……私ね、最近つまんないの」 尚治を起こさずに、そのまま私は話し出した。 独り言でしかないけど、寂しい人間だけど。 「何の楽しみもない毎日が過ぎてくばかりでね。もし、」 もし私に彼氏が出来たなら そう言ったとき、尚治が動いた。 寝返りをうっただけかと思ったけど、これはあまりに不自然。 思い切って覗き込んでみると、尚治と目が合った。 「……たぬき寝入り?」 「………わり」 布団を避けて、尚治は起き上がって私を見る。 別に謝るのは私の方だよ、って言うとそりゃそーなんだけどさって頭をかきながら尚治は言った。 アハハって私は空笑い。 「……んでさ、お前は俺に何してほしいの?」 「え?」 「何かあんだろ?でなきゃわざわざこんなことしねえし」 沈黙。 尚治は何でもお見通しなんだね。でも私、尚治に何してもらいたいか分かんないよ。 私が黙っていると、あー……と尚治は言って頭をまたかいた。 「さっきの、彼氏ができたならってヤツ」 俺じゃ、駄目? そう言った尚治は顔を赤くしていて、きょとんとしている私を抱きしめた。 とても安心するし、ドキドキする。 あ、もしかして私嬉しいのかな? 「ばーか」 ねえ馬鹿な君、僕がどれだけ (お前がその顔してる時は嬉しいんだよ) 2009.02.15 title by にやり |