「あ」 「あ、榛名」 中学を卒業して2年が経っていた。 およそ2年振りに会う榛名は身長が伸びて、筋肉もついて表情もというか顔つきも変わっていた。もうすっかり男になっていた。 本当に2年も経ってしまったんだな、と感じさせられる。 「うわ、久しぶり」 「本当だね、卒業以来?」 「あー……そうだな。彼氏とかできた?」 すごく自然にそう言った榛名を私は見上げた。相変わらず綺麗な顔してるな。 じっと見ていたからか、どうした?と榛名は首を傾げた。 何でもない、と私は答えさっきの質問に答えようと息を吸う。 「彼氏いるよ」 「へ、うそつけ」 「いや本当だし」 ホンキで驚いた表情をした榛名の頭を一発叩いてやった。 2年前は叩くことなんて簡単だったに。今すっごく大変だった。届かないんだもん。 ああ、時の流れってムカツクなぁ。 良いでしょー、なんてわざとらしくジマンしたら叩き返された。いたい……。 「そういう榛名はどうなの?」 「俺?いないけど」 「はあ?あんたが?」 私は素直に驚いた。 だって榛名だよ?性格はともかく顔は良いあの榛名だよ?女の子がほっておかないでしょ? 「あ?」 「あ、いや何でもない」 ホントに意外すぎて頭の中真っ白になっちゃった。 気が付くと思ってた以上の時間が過ぎていて、私はあ、と声をあげた。今日は早く帰るって言ってあるのに。 ごめん、もう帰らなきゃ、と慌てたように私は榛名に言った。 おお、じゃあな、と榛名は片手だけをあげた。 そんな榛名の横を私は通ろうとしたとき聞こえた言葉、 俺さ、お前のこと好きだったよ 振り向くと榛名はもうずっと遠くにいた。ロードワーク中だったのかな。 その遠ざかっていく背中を見つめ、私は小さく呟いた。 「私も好きだったよ」 あのとき告白する勇気があったなら……――― 悔やむことが在るとすれば、 (でも結局ソレは『IF』の話) 2009.02.05 そして時間は動き出す、様に提出 |