「手」 「え?」 私の隣で歩いていた彼…隆也が突然そう言い出した。 意味というか脈絡が分からない私は、はぁ?と可愛いげもなく声を返す。 そしたら隆也はわざとらしく舌打ちをした。 あのねぇ、なんか私が悪いみたいになってるけどちゃんと話さないあんたが悪いんだからね? 「……分かれよ」 「分かりません」 ホントは分かってるけどね? 手、繋ぎたいんでしょ? でも素直に手を出してはあげないの。だって隆也はいつも黙っているだけだもん。いつもいつも私が手を繋ぎたいとか言うの。 だからたまには隆也から言ってもらいたいの! ……これくらいの我が儘、言ってもいいよね? 「……手、繋ぎてぇ」 「よく言えました」 また舌打ちしながら、隆也は差し出した私の手を握った。 寒いのがあったかくなるし、それになんか嬉しいな。 隆也は、あー…とか何か言いたさそうな感じに小さく声を出した。 どうしたの?と聞くとこれまた小さく返事。 お前の手、好き。 もっとぎゅっと絡めてほしいから (て、手だけ?) 2009.01.27 title by 確かに恋だった |