やだ……っ! 行かないで!私を置いていかないで! 私をひとりにしないで! ………! 「……どうしたの?」 ここは勇人の家。 2人でソファに座ってテレビを見ていた。 柄にもなく私は勇人に寄り掛かり、何も喋っていなかった。 勇人が心配そうにそう聞いたのは、きっと私らしくなかったからだろう。 「……夢、見たんだ」 そして私は夢の話を始める。 誰かは分からないけど、大切な人が私の前から消えていって 私はそれが嫌で、別れたくなくて、必死で泣き叫んで呼び止めた。 でもその大切な人は待ってくれなくて、どんどん遠ざかっていって もう私も一緒にいってしまおうかって思ったとき、勇人が私を呼んだ。 「私が叫ぶ声に負けないくらいの大きさで、私を一生懸命に引き戻してくれたの」 「もし、それが正夢になったら勇人は本当に私を引き戻そうとしてくれるのかなって、考えてた」 しばらく私の話を聞いていた勇人は、私の頭の上に手を置いて撫でた。 少し乱暴に、でもとびきり優しく。 「当たり前でしょ?」 僕を呼ぶ君の声 (で、その大切な人って誰?俺じゃないようだけど) (え、だから分かんないんだって…!) 2009.01.23 title by Endless4 |