テレビは甘ったるい恋愛ドラマを映している。 その内容に集中しているわけでもなく、ただつけているだけ。 俺は普通にソファーに座って見ているんだけど、コイツは何故か俺の膝を枕に使って寝ている。 何で寝てるのかって言えば、寝不足らしい。 「……本気で寝てんのかよ」 返事は当たり前に無い。まじで寝てやがる。 無防備な寝顔を覗き込んで、綺麗な髪に触れる。すげ、さらさら。 ふわっと良いにおいがする。シャンプー変えたのか?でも何て言うか、コイツのにおいは変わらない。 大好きで、ドキドキするけど安心させられるにおい。 ……においフェチってわけじゃないぞ? ドラマはまた新たな展開を見せ始めていた。元彼の登場だ。 ほっておけば夜まで寝ていそうなコイツは新しい動きを見せない。 ……つまらない。 柔らかそうな頬に触れる。ちょっと眉間にシワが寄った。 でも起きる気は無いみたいだ。一度は歪んだ表情は元に戻った。 いつまで俺を退屈させる気だ。足も痛くなってきたし。 ……起きないお前が悪いんだからな。 その柔らかい唇に、自分のソレを重ねた。 顔を離すと自分のしたことが恥ずかしくなって体温が上昇した。 でもどうせコイツは起きないんだろ、と見下ろすと瞳を閉じたまま赤くなった顔があった。 「……お前、起きてんな…?」 「……あ、はは…」 「狸寝入りかよ…っ」 目を細めながら笑ったコイツは、ごめんと謝った。 もういいからそこから頭どけろ。 そう言うと、やだ。と返ってきた。 「こうしてれば、またキスしてくれるかもでしょ?」 その眼が僕を狼にする ……悪いのはお前だからなっ! 2009.01.06 title by にやり |