いつも通り、部活があって俺は練習をしていた。 午後からは他の部活が使うから今日は午前練だけ。短い時間の中で集中していた。 「巣山さん」 一回目の休憩。いつからいたのだろうか、彼女はフェンスの向こうに立っていた。 コイツが俺を"巣山さん"なんて呼ぶときは何か変なことを考えてるんだ。 何?と返すと、ここにいることに疑問を持たないんだって返された。来てくれて嬉しいから別に聞かなかったんだけど。 まぁいいや、と言って俺を見る。 「今日、何日?」 「は?11月22日だろ?」 「何の日か知ってる?」 11月22日…何かあっただろうか。コイツの誕生日はまだだし、俺のはとっくの昔に過ぎた。付き合ってから何週間か経ったとかか? 「良い夫婦の日だよ」 俺が答える前にコイツは正解を言ってしまった。 良い夫婦の日か。ああ、数字そのまんま読んだらそう読めるな。 「んで、何かあったか?」 「夫婦の仲を深めるために、デートのお誘いに来たんですけど、どうですか?」 (…ベンチに俺の上着あっからそれ着て待ってろ) (寒くないよ?) (頬っぺた赤くして言うな。上着間違えんなよ?) 2008.11.22 良い夫婦の日! |