冬になって寒いのに、雨が降りやがった。
渋々折りたたみ傘を開いて、帰路につく。さっさと帰ってあったまろうか。

「あーべっ!!」
「うおっ」

ドカッ

そんな効果音を出して、後ろからタックルされた。
「ってぇな……」
「傘入れてー」
「ヤダ」
「あ、ちょっとくらい考えてくれても良いじゃねぇかよ!」
断ったにも関わらず図々しくコイツは傘に入ってきた。ったく、何が悲しくて男同士で相合い傘しなきゃなんないんだ。
ここでギャーギャー言ってたら早く帰れないだろうから、俺はあっさり諦めることにした。

「寒いっスねー」
「おー」
「雪降らないかなー」
「おー」
「……」
もう何か、話すのも面倒だった。ひとつの傘に入ってるせいか肩は当たるし、もうひとつの肩は雨に当たっている。それに気付いて右肩を中に入れた。

「阿部ぇー、何か反応してよ」
「めんどい」
そうこうしてる間に、家が見えてきた。やっと帰れる。
そう考えていると、思いっきり肩が当たってきた。
「っおま!「これ」……あ?」


「誕生日!」



そう言って、やけにパンパンな紙袋を押し付けて傘を抜け出しダッシュしていった。
紙袋の中を見ると、とにかく買いまくったという感じに駄菓子が詰め込まれていた。
渡した時のアイツの顔は、やけに赤かった。






「寒いね」








(……何で今日が誕生日だって知ってんだよ)
(わ、わ、渡しちまった!)




2008.12.11
title by にやり


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