もう、白い息が当たり前になってきた。 試験前で部活停止になっている今日もまた家に帰って勉強しなきゃなんない。どうせしないけど。 「俺ンち来ねぇ?」 田島がそう言って、キラキラした目で俺を見る。その隣で三橋も似たような目で俺を見ている。あ、三橋は田島ンち行くんだ。 「…泉は?」 「行くよ」 「勉強教えてくれ!」 今日は野球部で集まらないらしい。だから俺を誘うのか。 じゃあ浜田も誘えば?って言うと、バイトだからって断られたらしい。試験前もバイトか…さすが生活支えてるだけある。 「んじゃー、行く」 「よっしゃ!行くぞ!」 「さーむいっ!」 「風、冷たいっ!」 「田島ンちどこだよ」 「あれ!」 田島が指さす先に見える家は学校から普通に見えそうな場所にあった。 「近っ」 「チャリ1分!」 「早く入ろーぜ」 そして始まるストーブ争奪戦。 「泉狭いんスけど」 「お前が避ければ広くなんじゃね?」 「さぁむい」 コタツのスイッチが入っていなかったらしく、まだあったかくない。とりあえずストーブをつけて、あったまろうとする。当たり前に田島は飛んでいくから、俺も負けじとストーブの前を陣取ろうとする。すると泉も対抗してきた。 それはもう、おしくらまんじゅうみたいだった。 ストーブはまだあったかくなってないのに、不思議と体はあったかかった。 「……三橋!」 「うわっ!三橋何でそんなトコにいんだよ」 ふと後ろを見ると、三橋が寒そうに俺たちを見ていた。うわ、一緒におしくらまんじゅうしてると思ってた。 「こっち来いって」 「え、あ…と」 ぐずぐずしている三橋を、3人で引っ張った。三橋はバランスを崩して、俺たちの中にダイブする。 「三橋あったけー!」 「勉強いつからやる?」 「もっとあったまったらでいいだろ」 「う、うん!」 ぬくもりは、ここに (結局そのあと、皆して寝ちまった) 2008.12.10 title by ひよこ屋 |