いつもいつも、真剣勝負。
遊びなんてありえない。

ここは9組。
俺と野球部+浜田は最近昼休み、弁当を食ってからちょっとしたゲームをしている。
もちろんそれはただの娯楽で済むわけが無く、誰がパシリになるのか、罰ゲームをやらされるなどと色々なことを"賭け"にしている。
ここ数日は三橋が連続で負けている。流石に連続となるとちょっとは手加減するかと思った罰ゲームも田島は容赦無く押し付ける。
女子に髪を弄られたりは当たり前、ジュースを買いに階段を駆け降りたのは何回になるだろうか。そろそろ三橋も辛くなっているだろう。だがしかし手を抜くつもりは全く無い。

今日の勝負はいったい何だろう。



「ごちそーさまでした!」


元気の良い声が食事終了を伝える。三橋が肩を揺らした。
とっくの昔に食べ終わっていた俺は野球部の方へ近づいて、椅子に座った。

「お前ら旨そうに食うよなー」
「そうなの?」


弁当箱を片付けながら3人は頭の上にハテナマークを浮かべる。
だって見てるこっちが腹いっぱいになりそうだもん。

今日は何すっかー、ってあっという間に話題は変わる。
ポーカーもブラックジャックも大富豪もやった。UNOだってわざわざ持ってきてやった。
ピンポン玉を持ってきて、机をくっつけて台に、教科書をラケットにして卓球までやった。
そろそろネタも尽きてきたところだ。


「今日はあっちむいてホイやろう!」

罰ゲームはパシリな。
特に反対する理由も無く、勝負はすぐに開始された。

やたら勝負事に強い田島は別格で、泉も田島の影に隠れながらも良い成績は残している。罰ゲームになったのは1回か2回だけだ。
浜田は三橋よりは少ないけど罰ゲームになる確率は高い。俺は……まあ、普通?
でも、あっちむいてホイなんて運があれば勝てると思う。たまに予想しやすい人いるけど。








「負けた方がパシリな!」

……勝てるとか、思ってた自分が馬鹿だった。
俺と三橋のどちらかがパシリになることが決定した。俺は泉に負けたんだけど、鼻で笑いながら予想しやすいって言われた。まさか、俺が予想しやすいなんて……単純って言われたみたいでショックを受けた。

とにかく、今日のパシリだけは勘弁したい!(自販機が混んでいる予感がするから)



「じゃんけん、ポン」

何か変な緊張が流れる。どうしてあっちむいてホイごときにここまで神経を使わなければならないんだろう。

じゃんけんに負けたのは、俺。


「あっちむいて」


これに負けたら俺がパシリ。三橋は連敗を免れる。
勝てたら勝負は延長。緊張はまだ続く。


「ホイ!」





「あ」

俺は下を向いた。三橋が指さす方向も、下。
……負けた。
がっくりと肩が落ちたのを感じる。

「か、勝った!」
「おめでとー三橋ぃ!」
「んじゃ、俺アロエな」
「俺もー」

喜ぶ三橋は可愛いものだった。無邪気と言うか…。落ち込む俺に追い撃ちをかけるように泉はパシリを急かす。
4人に飲みたい物を聞いて、俺は教室を出た。5つって結構重いんだよなー……えっと、500ml×5で、2Lちょい?
うわー、何か落ち込む。

予想通り、自販機のある購買は混んでいた。5つも飲み物を抱えていた俺は周りからパシリに見られているに違いない。くそ、恥ずかしいな……。

ま、楽しかったから良いんだけどさ(変な罰ゲームでもなかったし)



「おっせー!」
「混んでたんだよ!」



……ん?
あっちむいてホイごときにここまで熱くなる高校男子なんて他にいないんじゃないか?





青春とは馬鹿である

(どうした?)
(何でもない……)




2008.11.26
title by にやり

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