あ、何か感じた。 よし、ダッシュしようか。 「おい」 >逃げられない いやいや、榛名さんどんだけ素早さ高いんですか。そしてどんだけ俺素早さ低いんですか。まだ一歩しか進んでませんよ。 がっちりと肩を掴まれて、逃げる手立ては無さそうだ。 昨日、秋丸さんに相談して聞いたことを忘れようとした。したんだけど……無理だった。 変にそのことを意識しちゃって、榛名さんを避けていた。 「何で避けんだよ」 やっぱり分かりやすかったですよね、自分でもあからさまって感じてましたもん。 心なしか榛名さんは不機嫌そうな顔をしていた。 「人ってのは悩みのひとつやふたつ持ってるもんでしょうが」 「俺が悩みだって言うのか」 ええそうですよ。あんたのせいで俺はこんなモヤモヤした気持ちになってるんですよ。 チッと舌打ちをして、榛名さんは視線を俺から逸らした。 …何か、冷たい。胸が苦しくなった。 「……何でここにいるって分かったんですか」 今いるここは人が滅多に来ないとよく聞く場所。だからここに逃げていたんだけど。 俺がそう聞くと、榛名さんは視線を俺に戻して答えた。 「何となく」 きみ発見レーダー 俺は拳を握って覚悟を決めた。 この曖昧な状態なんてヤダ。ハッキリさせてやる。 「榛名さん、俺のこと好きなんですか?」 2008.12.16 title by にやり |