またしても俺の平和な日常はコイツラに邪魔されることになった。 でも今回は、許す。 何故かって言うと……。 「梶誕生日おめっとー!!」 今日は梶さんの誕生日らしい。 それを祝うために、俺たちは学食に集められた。 いつもは3人と俺だけだけど、今日は松田先輩と……深見先輩も、いる。 「わざわざ集まることでもないだろ」 淡々と梶さんは返す。 でもサンキューな、と礼を言った梶さんはカッコイイと思った(でも絶対本人には言わないけど) 「ほら、誕生日プレゼント」 まるで自分の誕生日のように嬉しそうな梅ちゃんは、エビフライの尻尾を梶さんの皿の中に入れた。 「もっとマシなのよこせ」 「もらえるだけいーじゃん」 エビフライの尻尾をあげたり返したり。 そんなことをしている2人を見ながら、俺はから揚げをひとつ、口に運んだ。 「今日が梶さんの誕生日って知らなかったス」 「あはは、僕も」 「私も知らなかったな。皆、誕生日いつ?」 かわいらしい弁当を片付けながら、深見先輩は皆に聞いた。 そんな小さい弁当で、これからもつのかな…。 結局エビフライの尻尾は梶さんが食べてしまったようだ。 皆の誕生日を聞きながら、深見先輩は頷いている。俺も頭に入れておくことにした。また急に召集されるのはあまりよろしくない。 「え、梅ちゃん過ぎちゃったじゃないスか」 「浜田の馬鹿が忘れやがってよー」 「馬鹿って言うな!」 遅ればせながらも何かあげようかと考える。でも何も無い……教室に行けばキャラメルあるけど。 「じゃあ、これ誕生日プレゼントで」 そう言って俺は大量のキャベツの千切りを梅ちゃんの皿に入れた。 「せめてから揚げくれ」 「尻尾より良いだろ」 そりゃそーだけどよー。 そう思うのなら梶さんに何で尻尾あげたんですか。 「今日機嫌良いよなー」 浜田がいきなり俺を指差してそう言った。 図星をつかれた俺は顔を赤くする。 なんで機嫌良いかって?深見先輩がいるからに決まってんだろ! 「え、そうなの?」 「うん」 「つ、次集まるのは松田先輩の誕生日っスよね!!」 3人に何言われるかわからない。話をそらすために俺はそう言った。 「え、僕のとき?」 「当たり前だろー!松田ぁー!」 浜田は松田先輩の背中をバシバシと叩きながら笑顔で言う。これでまたすぐに深見先輩に会える……。 「そういえば深見先輩の誕生……「あ、ごめん!私先生に呼ばれてたからもう行くね!」…ハイ」 さっき誕生日を聞いたとき、深見先輩だけ言ってなかったから聞こうと思ったらこれだ。 俺はとことんついてないらしい。 「梶山くん、誕生日おめでとう」 「サンキュー」 最後にそう言って、深見先輩は学食を出て行った。 笑顔が見れたから……ま、いいか。 「「「ドンマイ」」」 何も3人声を揃えて言わなくても良いじゃないですか。 ああもう、召集したこと少しだけ感謝してやったのに!! 2008.11.14 |