とりあえず、春巻とスイートポテトのどっちを選ぶのか。 俺は結構な選択を迫られている。 どうしてこんな状況になっているのかと言うと、ほんの5分前にさかのぼる。 俺の平和な日常はまたしてもコイツラに壊されることになった。 しかしこう何度も壊されるといい加減に慣れてくるものであって、いちいちキレることはもうなくなった。 ……大人になったんだ。うん。 今日は一緒に飯を食うとのいきなりの召集。別に飯食うくらい問題は無い。無いけど……。 「すっげ、食いづらいスけど」 召集場所は、2年9組。 梅ちゃんと梶さんのクラス。 そこに俺と浜田がやってきたわけなのだが……周りの目が気になる。 そりゃそうだ。 2年の教室に1年がいるのは珍しい、というかありえないんじゃないのか?(浜田は例外として) 「だって屋上寒いし」 「学食っつー手があったでしょーに」 「金ねぇ」 貧乏学生……。 まぁ、時間もそんなにあるわけでも無いので仕方なく食べ始める。(今日は卵焼きがある) 「ほれ、詫びにおかずひとつやるよ」 むすっとしながら食べていたからか、梅ちゃんが弁当を見せながらそう言った。 梶のからもいーぞー何て言うもんだから、ちょっとだけ目を見開く。 「…良いんスか?」 「ひとつだけな」 「じゃあ、梅ちゃんからスイートポテト。梶さんからは春巻を……「駄目駄目!」…はい?」 ちゃんと、ひとつずつじゃないですか。 そう言ったら違うと言われた。 「ひとつってのは、俺のと梶の弁当からひとつ」 つまり、おかずをふたつも得ようだなんて甘い甘い! 「はぁ?」 「梶ー、俺も欲しい」 「お前は駄目」 あっさりと答えられ、浜田は少し落ち込んでいた。 そんな浜田は無視しておいて……俺は、春巻とスイートポテトのどちらかを選択しなければならなくなった。 正直、どちらも好物であるが故にここまで悩むのである。 「んー……」 これまでにこんな悩んだことがあっただろうか! (つまり、食い意地が張ってる) (はーい、時間切れー!) (え、あ、ちょっと!話が違う!) (ほれ浜田食え) (やったー!) (春巻ー!!) 2008.11.10 title by 夜空にまたがるニルバーナ |