「トリック オア トリート!」




俺の平凡な日々は、またコイツによって邪魔されることになった。
最高の笑みで、浜田は俺を見ている。
その背後には、梶さんと梅ちゃんもいるし良い感じはしない。


「……お前、その意味分かってて使ってんのか?」

「"お菓子くれなきやイタズラしちゃうぞ!"だろ?梶と同じこと言うなよー」

「……チッ……」

「え、何で今舌打ちしたの!?」


早いとこ菓子を渡してどこかへ行ってもらおう。
渋々と鞄の中を漁る。


「ほれ」


そして見つけた練乳キャラメルを浜田に投げ渡した。
これで帰ってくれるだろ(浜田は教室同じだけど)


「苗字」



梶さんが俺を呼ぶ。そして座ってる俺と目線を合わせようと屈んだ。ちょ、顔近い!






「トリック オア トリート」



「……へ?」




沈黙たっぷり3秒間。
理解は、まだできない。


「俺も俺も!トリック オア トリート!!」


梶さんに続いて梅ちゃんも何か言い出した。
ちょっと待ってくださいよ、先輩方。



「あんたら3人でひとつじゃねえの!?」


「さっきのは、浜田」

「だって俺らトリック オア トリート言ってなかったもん」



ため息。
本当にこの人たちは先輩ですか?
そんな小学生が言うような屁理屈じゃないですか。

なんかもう言い返すのも面倒くさいから、菓子を渡す。


「んじゃ、俺寝るんで」



「よし!次深見のとこ行くぞー!!」













(お、俺も行く!)
(寝るんじゃなかったの?)
(前言撤回だ!)
(苗字、キャラメルしか持ってないのか?)






2008.10.23



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -