それはありえないから、ノー。 俺の思考はそれ以外の答えを出さなかった。 何を言ってもきっと同じ。 半ば絶望しながら俺はソイツを見た。 誰かさんと同じように何を考えているか分からない、もしかしたら何も考えていないような感じがするソイツは欠伸をした。 誰かさんとは、こうやってうだうだ何がしたいのかよくわからない俺のことである。 「……何見てんだよ」 「え、阿部可愛いなあって」 「馬鹿言うな」 「じゃあ、阿部タレ目だなあって」 「うるせー」 自分でも理由はよく分からないのだからふざけた答えしか返せないのは仕方ない。 じーっと阿部を見ていると、見んなって言われた。 「………ん?」 「どうしたよ」 「ゴミついてる」 肩についてるゴミを取ろうと手を伸ばした。 無防備な阿部はその手を眺めるだけ。 くそ、何かしちまうぞ。 「いっ!」 「油断大敵だな。無防備だったぜ?」 バシッと阿部の肩を叩いて、俺のターンは終了。 阿部は怒っている、と分かりやすいオーラを出している。 あー、これは来るな。 「……ってめぇ!」 ほら来た。阿部のターンスタート。 阿部は短気だからすぐ怒るんだよなー。 「短気は損気だぞー」 「るせっ…!」 「はいはい当たりませーん」 こうやって阿部と馬鹿やるのが好きだ。 俺が持ってるこの感情が、もしそんなものだとしても俺は伝えることは無いだろう。 それくらいにくだらなく危険なことなのだ。 「阿部ー」 「あんだよ」 「また明日も馬鹿やろーな」 前を見る、明日は変わらない (はあ?) (あっはっは) 2009.05.20 title by にやり |