家を出ると、路面が凍っていた。ここはスケートリンクじゃないぞ、と心の中で突っ込んでから一歩踏み出した。
何でか知らんが、アイツラに集合かけられたからな。


うわ、ていうかまじ滑る。





「うおーい!!」


集合場所で大声を出しながら手を振るのは田島。誰もいないからよかったものの、誰かいたら恥ずかしいだろうが。

「おっす」
「うーっす」
「ち、ちわっ!」
「滑るなー…、今日」
「あーそうだな……うわっ!?」



つるっ
べちゃっ



泉と話していた俺は急に背中を押され足を滑らし顔面を強打。地面とキス。
くそっ!田島に背を向けるなんて油断してたぜ…!

「あっはは!かっこわるっ!」
「てめ……っ、おりゃっ!」
「うわっ!!」

やられっぱなしじゃ俺のプライドが傷つく。
俺を指さして笑っている田島の足を掴んで転ばせた。よし、転んだ。
それから俺たちを見てため息をついた泉を俺が巻き込んで、呆然としている三橋を田島が巻き込んだ。


そして年甲斐も無く、俺たちは転ばせ合いを始めた。
いや、ホント誰もいなくてよかった(高校男子がいったい何をしているんだという目で見られることだろう)







「……んで、何で集合かけたんだ?」
「暇だったから」

はしゃぎ疲れた。皆して転んだままで、俺は田島に集合の理由を聞くと間髪入れずに答えは返ってきた。
だいたい、予想できてたけどな。

「…そか。つか、そろそろ立とうぜ」
「よいしょっと!三橋立てっかー?」
「だ、いじょぶ」
「泉ちゃんは立てるー?」
「誰が泉ちゃんだ。馬鹿にすんな」

すんなり3人は立ち上がる。俺も立たねぇと……。

「ん」
「ん?」

立ち上がった泉が俺を見下ろしながら右手を出す。その手は何だ?

「手、貸してやる」
「……まじか」

珍しいこともあるもんだなー、と言いながら有り難くその手を借りる。
そしてグイッと引っ張られると、俺はそのまま泉の胸の中へとダイブした。



滑って転んで抱き着いて

(あのー…何やってんでしょ、泉サン)



2009.01.05
title by にやり


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