それは3時間目が終わったあとの短い休み時間の話。

空腹は限界に来ていて、でもあと1時間堪えなければならないという現実を乗り越えるために俺は鞄からアレを取り出す。お菓子を。

今日のお菓子はプリッツ。
コイツは素朴な味で、俺の中でかなり好物な分類に入る。
ああ早く食べてしまおう。袋を開けて一本取り出した。



「お、今日はプリッツなんだ」


前の席の泉が振り返り、手にあったプリッツを取って自分の口へ入れた。え、あの、俺の……。


「うまい」
「当たり前だ」

気を取り直してもう一本、袋から取り出した。
袋は無防備に泉に向ける。
今度こそ食べよう。

「いっただきます!」
「あ」

また手に持ってるものが消えた。次は田島か…。
大丈夫まだプリッツはたくさんある。そう思ったら袋の中身は予想よりも少なくなっていた。
どうやら泉が三橋にも分け与えてたようだ。いや、別にいいんだけどさ…俺、まだ食ってないんだけど。
持ってきた俺よりお前らの方が食ってるってどういうこと?


「あ、俺もいただきまーす」
「浜田も!?」
「え、なに?」



パク


貴重な一本がまた減った。
ちょっと待てお前ら、遠慮って言うものを知っているか?




「ごちそーさまでしたっ」
「お、いしかった」
「なー」
「明日はポッキー頼むな」




所謂、ジャイアニズム



(すみません、俺一本も食ってないんですけど)
(とろいのがいけないんだろ)
(弱肉強食って言うじゃん)




2008.12.29


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