「……誰だ?正直に名乗り出ろ」




頭に雑巾を乗せた苗字は、いつもとは明らかに違うオーラを纏っていた。
なんで雑巾なんか頭に乗せてるかって?俺たちが遊んでたのに巻き込まれたからさ。












「みっはしー!野球しようぜ!」
「え、やきゅ…?」
「ぞーきんと、ほうき!」

教室掃除に当たってる人数は十分過ぎてて、そん中の2人が遊んだって痛くも痒くも無かった。
むしろその光景はほほえましいものだった。
それに参加する気は俺には無かったのだが、泉もやるよな?なんて田島に言われて強制的に参加させられた。


三橋は雑巾を一生懸命丸め、田島はほうきを握って素振りをしたりする。
俺はどうすればいい、いや、やらなくていいか。そんな2人の様子を眺めていた。


「よし、来い三橋!」
「い、いくよ!」

そうして三橋が投げた球(雑巾)は田島が振ったバット(ほうき)に当たり、黒板に向かって飛んでいった。(窓じゃなくてよかった)




べちゃ



嫌な音が聞こえた。
雑巾は床に落ちていない。
黒板を拭いていた苗字の頭に直撃したのだ。
そして冒頭に戻る。


「や、あの…」
「あと2、3時間もすれば嫌ってほど野球できるのになぁ……?」
「まったく、その通りです…」

苗字の前に正座させられてる俺たち3人。苗字のオーラが怖くて顔を上げられません。

「罰として3人でゴミ捨て行ってこい!!」
「えー、外寒いじゃんー」
「口答無用」


いってらっしゃいって、掃除している皆は俺たちに言う。
え、俺何もしてないんだけど。

「いってらっしゃい、保護者さん?」





にやりと妖しく笑って言った


誰が保護者だ!好きでこうなったわけじゃない!
しかし今、俺には反論できる権利も無ければ立場でもなかった。





2008.12.26


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