「やっと来た。待ちくたびれちゃった」



屋上に辿り着いた彼らを待っていたのは二人の少女だった。まるで双子のようだが双子ではない。
苗字名前と、そのシャドウだ。
彼女達は柵に寄り掛かったまま、彼らを見た。


「P4主人公、どうだった?楽しかったでしょ?同じことを繰り返すのはとても退屈だったもの!」
「…楽しかったわけないだろ……」


一人の苗字名前が言う。隣でもう一人が楽しそうにその様子を眺めている。



「なあ苗字、何で足立さんを落としたりしたんだよ」


花村が苗字名前に聞いた。
2人の苗字名前はまばたきを数回したあと、1人は目を伏せて1人は口で孤を描いた。

「簡単よ、エンディングを変えたかったの」
「エンディング?」
「全ての責任を押し付けられるなんて、私は堪えられなかった」


「だって貴方は、たった2回人をテレビに落としただけだもの。直接手をかけたわけじゃないわ。
なのに貴方が真犯人ってことになって、逮捕されて終わり。何それ!
それなら生田目と同じじゃない!生田目でいいじゃない!」


「…何で、足立さんが犯人だって知ってるんだよ」

「だから私は落としたの!
そうすることで容疑者から被害者へ変わるから!」


喋っていた苗字名前は、黙っていたもう一人の苗字名前を見た。
そして手を差し出す。

「名前、終わらせよ?」
「……うん」

返事をした苗字名前はその手をとった。
すると手を差し出していた方の苗字名前はその姿を一度崩し、巨大な猫又になった。
苗字名前のペルソナだ。
驚いている彼らを背にして苗字名前は柵を乗り越えようと足をかけた。




「やめろ!飛び降りる気か!」


完二の静止の声も聞かず、苗字名前は柵を乗り越えた。
そして一歩、足を踏み出した。
千枝と雪子とりせの叫び声が聞こえる。




「ねえ、P4主人公」


「…浮いてる…クマ」
「嘘だろ…?」



宙に浮く彼女に皆が目を見開き驚いた。
そんな中、P4主人公と足立だけが眉間にシワを寄せた。
苗字名前は虚な目のまま、こちらを見る。







「私を倒してよ」





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