くそ、くそ!
どうして俺ってヤツはこんな無力なんだ!
落ち着けって?
できるものならそうしたいさ!だけど身体が動かないっていう異常なことがあってそうすることもできないんだよ!
テレビの中なら落ち着いてたかもな。だけどここは現実なんだよ、俺たちがいつも暮らしてる世界なんだよ、苗字の家なんだよ!
いったい俺の前で何があった?苗字はどこへ行った?


「あ…動いた」
「花村、お前も動かせるはずだ」
「あ、ああ…」



いくらかの時間が過ぎて、身体が言うことを聞きだした。
手の平を握ってそれを確認して、ようやく落ち着いてきた。脳に酸素が行き渡った感じ。


「大丈夫か?」
「ああ」
「現状を確認した方が良いですね」


特に事件が起きたあととは思えない苗字の部屋を見渡して直斗が言う。
さすが探偵王子と呼ばれるだけある。冷静な判断だ。



「まず、苗字は俺たちに薬を盛った」
「ええ…いったいどうやって入手したのか」


「次に、苗字先輩は僕達を騙していたんですよね」
「もう何を騙していたのかすら分かんねえぜ」
「…そして騙していたことがバレたから、テレビの中に入った」

「つまり総合すると、」










「苗字が、真犯人だ」



そうしてその場はP4主人公が提案して解散した。
明日、里中達にも連絡してテレビの中を捜索するという。
捜索、か。











騙された。騙された!
考えればとても簡単で道理の通ってることではないか。
俺達が言う所の、"前回"。
"前回"の結果に納得していないのは苗字だった。
その記憶があるなら、結果を変えようと思うのは当たり前じゃないか。
足立さんが犯人だというのを知っているのは俺と苗字だけ。
手っ取り早く結果を変えようとするなら、その足立さんを容疑者から外せばいい。

そりゃあテレビに映るはずがない。生田目も手を出さない。
それ以前に、足立さんが生田目に大人しく落とされるわけがない。
足立さんが油断する相手は苗字しかいないんだから!

……でも、結果は変わるのか?
だってこれで苗字を捕まえて、アメノサギリは現れるのか?
霧は晴れるのか?
俺たちの目標は事件解決だけど、霧を晴らすことができるのは俺たちしかいないんだ。"今回"はいったいどうなるんだ?


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