直人も救出して…ああ、次は文化祭かな。
そしてそのあと……。
こうやってこれから何が起こるか分かっているのに未然に防げないというのは、ひどくもどかしかった。
あの脅迫状が届いて、叔父さんが俺を連れ出して、菜々子が一人になって…。
あの辛そうな菜々子を、叔父さんを俺は見たくなかった。
でもこれは避けられないものなんだろう、今まで起こったこと全て前と同じだったから。


「ただいま」
「あ、お帰りなさい」
「菜々子は?」
「もう寝ました。夕飯温めますね」
「ああ、頼む」

叔父さんは変わらず帰りが遅かった。
台所へ向かって、コンロの火をつける。
もしこの事件の犯人は足立さんで、次は菜々子がさらわれますー、なんて叔父さんに話したらどうなるだろうか。
少しは変わるだろうか…いや、変わらないか。
きっと夢の話を真剣にしているように見られるだろう。


「はい、どうぞ」
「おお、ありがとう」

いただきます。
丁寧に手を合わせてそう言ってから、叔父さんは箸を手に取ってご飯を食べ出した。
俺は菜々子と食べたので、テーブルの前に座るだけで色々話すことにした。




「そうだ。お前、足立を見てないか?」
「足立さん?」
「アイツ2、3日仕事に来てねえんだ。ったく……」


足立さんがいない?
これは初めてのことだった。
でもどうして足立さんが?マヨナカテレビには何も映っていない。そもそも足立さんが被害者になるはずが無いんだ。
あの人は生田目がテレビに入れることを知っている。生田目に会った時点で抵抗するなり逃げるなり…あの人なら逆に生田目を入れてしまいそうだ。

おかしい。単なるサボりだったら良いけど……。






「学校帰りにサボってるの見つけたら言っておきますね」
「悪いな」




何かが変わった。
いったい何が変わった?



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