白鐘直斗の救出に成功した。 彼女は自ら囮となって、久保が犯人じゃないことを証明してみせた。 私たちに探偵王子という、心強い仲間が増え、この事件は終わりに近づいていた。 何で私が、終わりに近づいているか知ってるかって、2度目だからである。 この世界のこの時間を体験するのが2度目。 呆れるくらいに同じように展開が繰り広げられて、正直面白くない。 だからってまた誰かに死なれても困るんだけど。 私は今、足立さんの家にお邪魔してテキトーなおつまみやらを口に入れている。 何でここにいるかって、私と足立さんがそういう関係だからだ。 お互い一人暮らしで、ご飯をご馳走になったりしたりしているうちに……だ。 前回も同じことがあった。あの時は確かお酒に酔った足立さんが……あんまり思い出したくない。 また同じことを繰り返すんだろうか。 そもそも繰り返すことに何の意味があるんだろうか。 「名前ちゃん、どうかした?」 「…あ、ああ何話してましたっけ」 「これから愚痴を話すみたいだよ」 「そうですか。じゃあ話します」 愚痴、か。 そういえば誰かに愚痴を話したことは、前回を合わせても無かったかもしれない。 グラスに入っている飲み物を一口、それから私は話し出した。 |