戦闘が終わったと思うと、目の前には足立さんが2人立っていた。
1人は立っているのも辛そうに
1人は金色の目を光らせていた。


「足立さん、それはもう一人の貴方です」
「もう一人の僕…?」
「貴方が、認めていない部分です」

さっき言ったことは、影のせいで少し暴走している、ということにした。
そうでもしないときっと落ち着かなかったんだろう。
P4主人公は足立さんに、それを認めるように言う。
目の前にボーッと立っている自分を見て、足立さんはため息をつく。




「…認めてないつもりはないんだけどなぁ」

影の足立さんはその言葉を聞くと消えて、ペルソナへと姿を変えた。
さっきの戦闘で足立さんが使っていた、マガツイザナギへと。
それを見届けると、足立さんは緊張の糸が切れたようにその場に尻餅をついた。

「大丈夫ですか?」
「あは…は……ここ、疲れるね、名前ちゃん…」
「慣れれば平気です」

足立さんに駆け寄ると、足立さんはいつものようにヘラヘラ笑った。
ああ、もう大丈夫だろうと安心すると、背後にP4主人公が立っているのを感じた。
振り向いて目を合わせると、避けろ、と目で言われた。
これから何をするのか、全く予想がつかなかったけど言う通りに避ける。避けないといけない気がした。
足立さんもきょとんとした顔で、P4主人公を見上げた。
P4主人公はゆっくりと足立さんに手を伸ばしていく。やがてその手は足立さんの胸倉へと届く。

「…して」



「どうして貴方が落とされたんだ!」

声を荒げて、P4主人公は足立さんに強く聞く。
花村たちも驚いてP4主人公を止めようとする。
足立さんは混乱しているのか、わからない、覚えていないと答えるばかり。
その答えにP4主人公は舌打ちして、足立さんをおんぶしようとした。

「歩けるよ」
「尻餅ついたのは誰ですか」
「もうおっさん何だから無理しちゃクマよー」
「僕はまだおっさんじゃな…っ、」
「ほら行きますよ」




道中、腹を抱えて笑いたくなった。
だってほら、あのP4主人公が混乱してるんだよ?
あんなに混乱して、感情を剥き出しにしてるP4主人公見たことない。

これでP4主人公の頭の中で、足立さんが犯人じゃないということになった。
さあ、どうする?
足立さんを問い詰める?きっと足立さんは何も覚えてない。足立さんの口から私の名前が出ることは無いだろう。




「名前ちゃん」
「何ですか?」
「心配かけてごめんね」
「……心配しました」


少し切ない目をする足立さんを見て、心が痛くなった。




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