私がどれだけ頑張ろうとも、事件の内容は変わらなかった。
やるなら事件が始まる前からじゃなきゃ駄目だね。

あれから病院へ行って治療を受けたあと、透さんはすぐに警察へ向かった。これでしばらくお別れだと思うとやっぱり悲しくなって泣いてしまった。
また泣いてるの、なんて言いながら透さんはキスしてくれて
「待ってなよ」と言って警察署へと入っていった。
数日後、ニュースで透さんのことが報道された。




「え、P4主人公帰るの…?」


月日は流れて、もう春になった。
P4主人公が元々いた都会に帰ることを聞かされた。ていうか、皆知ってたって何それ、私知らなかったんだけど。
どうして知らなかったかって、"前回"の記憶は事件が解決したところで終わっていたからだ。確かクリスマスを過ごして終わった気がする。

知らされた日から数日緊張した日を過ごして見送りの日が来た。
皆、泣いたりしながらP4主人公に別れの言葉を言っていく。ええと、私は何て言おう。色々考えてたのに頭真っ白になっちゃった。



「苗字」
「…もう、会いたくないね」
「何それ!なんてこと言ってんの名前!」
「はは、そうだな。もう会いたくないな」
「P4主人公くんまで…そんなに仲悪かったっけ?」
「いや、凄い仲良しだ」


何だそれ!と千枝が突っ込んで皆で笑った。
私が言う「もう会いたくない」は「もう繰り返したくない」ということだ。
なんだかんだしてるうちに列車の時間が来ていた。ああ、もうお別れだ。

P4主人公が列車に乗り込んで、もう一言。元気でね、なんて。
そして列車が発車した。私たちは追いかけるように走った。走って、走れるギリギリまで。
列車は見えなくなった。次会えるのはゴールデンウイークだろうか。




「……皆、泣いてる」
「うるさいっ!」







私は透さんが帰ってくるのを待ち続けることにする。
2度体験したこの事件で私は待つことができる強さを手にした気がする。だって"前回"の私だったら堪えられなかった。
どれだけかかろうとも、私は待つって決めた。





「大好きです。愛してます」



end

2010.01.10

→あとがき


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