今日一日で苗字に会ってテレビから連れ帰ろなんて無茶な話だ。
このランダムに繋がる教室の法則もわからない。他の場所みたいに上を目指せば良いわけでもない。
ああくそ!この教室はさっきも来たんだよ!



「ねえ、さっきから何でぐるぐるしてるの?」

苛々してる時に足立さんが追い撃ちをかけるように言う。こっちはしたくなくてもしてしまうというのに!


「え、何、気づいてないの?」
「何にですか」
「シャドウが教えてくれてるでしょ」
「はあ?」

ついに足立さんも疲れが頭に回ったか、と思った。
けど足立さんは至って真剣な顔だし、話くらい聞こうかと思い催促した。


「右の扉から出ればどこに繋がってるかとか教えてくれるんだよ」
「そんなことあるわけ…」
「多分あたしも聞こえた」
「ほら。これ聞いていけば同じ教室には行かなくて済むよ」


どうしてそんな冷静でいられたんだろう。
それが不思議で仕方ない。
まあともかく、これで同じところをぐるぐる回ることは回避できるわけだ。


「先輩」


直斗が多分俺を呼んだ。名前を呼んでないからもしかしたら全員に向けたものかもしれない。
どうした、と返すと不安そうな顔をして直斗はこう言った。



「僕たち、どこへ向かってるんですか?」


そうだ、そろそろ目的地を持って行動した方が良いかもしれない。
やみくもに走っていたって仕方ないから。

「私思ったんだけど」

天城が口を開いた。ここで意見はありがたい。天城の意見を聞くことにした。


「学校って狭いじゃない。だから私、戦えるところは限られてくると思ってたの。
広さを考えたら、1つは体育館だと思った。でも違った。
だったらほかには…?」
「……屋上、だ」
「じゃあ屋上を目指してみよう!」


違ったら違ったでまた考えれば良いんだ。
これで、これで苗字に会える。
苗字が何を考えているのか、ちゃんと聞きたいんだ。
同じように再びこの事件に立ち向かうことになった俺たちの何が違ったのか。









「センセイ」
「どうした?」
「名前チャンは大丈夫クマよ。何となくだけど…」
「……そうか」
「全然大丈夫じゃないよ」


この人は賛成ということを知らないんだろうか。せっかくクマが俺を安心させようと言ってくれたのに。
言い返そうとしたけど、思っていたよりも足立さんは真剣な顔つきだったのでやめた。
代わりに、どうしてと理由を聞いた。



「君はわからないかもしれないけどね、この中にずっといると自分が自分じゃないような気がしてくるんだ。
何も悪くないのにね、きっと今名前ちゃんは自分は真犯人と思って悪に成り切ってるよ」
「悪に成り切る…?」
「自分が倒されれば全て解決すると思ってる」
「先輩は悪じゃないのに…!」
「まったく、どうしてほっといたんだよ」


足立さんは俺を軽蔑するような目で見てくる。
それはどんな意味だ?


「分かってただろう?こうなることを」









わからなかったよ!
何を言っているんだ、この人は!

2009.11.19


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -