「嘘…」
「冗談、でしょう?」


翌日
いつも通りジュネスに集合して、里中たちに昨日の出来事を話した。
淡々と話すP4主人公は何だか他人事だと思ってるように見える。だけどこれがP4主人公なんだ、と言い聞かせた。
苗字のことを聞いた里中たちは絶望していた。当たり前だ、俺だってそうだった。まだ信じられない。


「…ってか、クマは!?」



クマが行方不明だった。
家にも戻ってこない。この面倒くさいときに!
とりあえず今は苗字を追わなければとテレビをくぐった。

「……いる。苗字先輩やっぱりここにいる。だけど、足取り…うまく掴めない」


りせがペルソナを出して探索を始めた。
霧が深くなっていて、数メートル先は見えるか怪しい。
もう大分ヤバイところまできているのを表しているんだろう。
残念ながら、りせは苗字を見つけることができなかった。

「もうクマ!この肝心なときに何でいないのよ!」
りせにできないのに、クマができるのか?
一瞬そう思ったが、よく考えれば元々ここにいたのはクマだ。クマがいなきゃ俺たちは何もできなかったし、そうだ。クマなら!


「……一旦、出ましょう」





ああもうどうしたら良いんだ!
足立さんは仕事が忙しいらしく頼りにならない。元々ならないかもしれないけど。
フードコートのいつもの場所に皆で座って、適当に買ったジュースを飲んで頭を抱えた。
苗字も二度目だけど早く救出しないと死んじゃうのかもしれない。
早く、早くしないと…!


「ク…クマ!?」

りせが急に大声を出す。クマ?
いやそんな馬鹿な。りせの視線の先を見ると、のぼりに隠れてきれていないクマが確かにいた。

「お、お前!!」
「ご、ごめんなさいクマ…」
「心配したんだからぁ!」


泣きつつもクマとの再会を喜んでいる皆を見て、少し落ち着いた。
これで皆揃った…と言って良いのだろうか。
ともかくクマがいるのだ。今度こそ苗字の居場所が分かるかもしれない。
絶対見つけてやる。そしてこのもやもやを晴らすんだ。


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