「…何が?」



相棒はいったい何を言ってるんだ?
愛家を解散してから、俺と直斗はP4主人公に呼び止められて何故か苗字の家へ行くことになった。
どうしたのか話されないまま、苗字の家について、茶をもらって、そしてようやくP4主人公が話すのかと思ったらよく分からない言葉。「お前だろう」
苗字はいつもより多めに瞬きをして、何が?と聞いた。冒頭の台詞である。


「足立さんがいなくなったことが分かった日の前日、最後に足立さんに会ったのは苗字だった」
「…それが?私と分かれた後かもしれないじゃない」
「いつも苗字が帰る時は送っていく足立さんが、あの時は出て来なかったらしい」
「そんなこと証明できるの?」
「足立さんの部屋の隣の人の証言だ。不思議に思ってたから記憶にあったらしい」


苗字の言うことが、俺にはどうもとある一つの真実を遠回しに言っているような気がしてならない。


「お、おい相棒…」
「先輩、まさか…」



「足立さんを落としたのは、苗字お前だ」





はっきりと断言され、信じらんないまま苗字を見た。
ぱちくりとでっかい目を開いて、数回瞬きをしたかと思うと、にやりといやらしく笑った。




「よく分かったね」



「え、苗字…?」
「昨日までのP4主人公だったらここまで辿り着けなかったねぇ」
「そうだな。苗字が教えてくれたからだ」
「苗字先輩…なんですか?」


そうだよ、と笑って答えた苗字に絶望を感じた。
だって、だって!
苗字は俺たちとずっと一緒にいたんだぜ。一緒にテレビの中で戦ってきたんだ。
ずっと一緒にいて、実は裏切ってたなんて…。


「苗字…ん?」
「体が…うまく動かな…」

「神様は今回、少しだけ私に味方したらしくてさ」
「薬…ですか……っ!」
「そうだよ。気づいたら持っていたの」
「足立さんの時も使ったのか…!」
「当たり前じゃない。あんな大の大人に勝てるわけないもの」


お茶に薬が混ぜられていたらしい。体を動かせない俺たちを見下すように見て、苗字は立ち上がる。






「ここからはお約束の展開」



準備が良い。武器を持っているのを確認して苗字はテレビの前に立った。







「またね」



笑顔で、苗字はテレビの中に消えていった。


2009.10.02


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