「今回、どう思う」



ああ面倒なことになった。
生憎まだ頭の中で整理しきれてないのだ。

「と…足立さんが先に落とされた以外は変わってないよね」
「だから厄介なんだよ。手掛かりが全く無い」


P4主人公の中では、まだ透さんが犯人だという可能性が抜けきれないらしい。良いことを知った。
どう答えればいいのか、頭をフル回転させて考えた。どうすれば不審に思われなく、かつ適切な答えが出せるか。



「ねえ、足立さんは何でテレビの中にいたのかな」



私の言葉を聞いて、P4主人公がハッとなる。
ようやく気づいたのか、相当テンパってたらしい。

「落とされた…?」
「…だと、思うんだ。あの段階で自分から入るとは思えないし」
「確か足立さんは俺たちに追い詰められて向こうに行ったんだし…そうか」

頷いて、P4主人公は私の目を見る。
負けじと私も見返す。


「つまり、足立さんを落とした人を見つければ良いのか」
「うん。そうすれば解決するかは分からないけど、何かは変わると思う」



これは正しかったのだろうか。
自分の首を締める行為にならなかっただろうか。
そんなの分からないけど、とりあえず今を乗り切れば良いかな。

「じゃあ明日、足立さんの周辺を探ってみる」
「うん。分かった」
「それじゃ。ありがとう」




爽やかに手を振って神社を後にする彼。
この事件は終わりに向かっている。
不安は残る。とても残る。




「あ、名前ちゃん!」
「……透さん?」
「どうしたの?暗い顔して」
「え、あ、大丈夫です」
「そう?じゃあいいや。家まで送るよ。帰るんでしょ?」

そう言ってにっこり笑って透さんは私に手を出す。
その手をとるのに、少しためらった。だって私は貴方を…。

「名前ちゃん?」
「…お願いします」
「お願いされます」



機嫌良さそうに透さんは鼻歌を歌う。失礼かもしれないけど、珍しい。

「何か良いことあったんですか?」
「んー?いや別に?」
「そうですか」
「名前ちゃん」
「はい?」
「好きだよ」





「私もです」


2009.09.17


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