菜々子ちゃんの容態が急変した。
病室へP4主人公が駆け込む。
私達は廊下でただ待つ。待つしかできない。


「大丈夫…大丈夫…大丈夫……」

指を絡めて、神様に祈るように手を組んだりせちゃんがずっと繰り返している。
花村は落ち着かないらしく、ずっとうろうろしている。
一見、冷静に見える直斗は眉間にしわが寄っていた。

病室からP4主人公の声が聞こえる。
まだ大丈夫、まだ……

「堂島さん…」

看護師さんに肩を借りながら、堂島さんが歩いてくる。
速度は遅いが、本人はもっと急ぎたかったはずだ。表情が険しい。
ドアを開けて、堂島さんが病室へ入っていった。




「菜々子ちゃん…!」

祈ったって何も変わらない。
分かってるけど、だけど祈る。
ここで菜々子ちゃんが助かれば、P4主人公たちはあの選択をしなくて済む。
……あれ?、でもそうしたら生田目はどうなるの?
この霧は?



「名前!?」



待って、ここで意識が途切れるなんてそんな。
私がいないと
私がいないと、P4主人公は選択を間違えるかもしれないのに。
これ以上私に干渉するなって?
今まで何もしなかったくせに、こういうときだけ力を発揮しやがって
待って、イヤだよ、私だけそんな

視界がだんだん暗く、狭くなっていく。
千枝と雪子が病室へ駆け込むのを横目で捕らえて、私は意識を手放した。




「花村先輩、名前先輩は私達に任せて菜々子ちゃんのところに行って」
「で、でも」
「完二も直斗もいるし、ね」
「…頼む」




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